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「おらおらでひとりいぐも」を読む [読書]

一日中、しとしとと雨が降り続き、まるで梅雨のような天気。昼前に荷物持ちを伴って、スーパー、八百屋、パン屋を一回りする。雨のせいか、お店も通りも人が少なかった。

若竹千佐子著「おらおらでひとりいぐも」を読んだ。2017年に文藝賞と芥川賞を受賞した作品。専業主婦だった著者が55歳でご主人を失くし、悲しみに打ちひしがれて引きこもっていた時、息子さんに勧められて通い始めたのが小説講座。8年後に63歳で、デビュー作が2つの賞を取った。

主人公は74歳の桃子さん。東京オリンピックの年に東北から上京して、2人の子どもを育て、妻として母親として、家族に尽くす人生を歩んできた。ご主人が心筋梗塞で突然逝ってしまったあとは一人暮らしをしている。息子や娘とも疎遠。悲しみ、寂しさを抱えながら、絶えず故郷の言葉で自分の心と対話している。そして、今の自分は孤独だけれど、何にも代えがたい自由を手に入れたのだと気づく。

登場人物が限られていて、ほぼ一人語りのような小説。著者の出身地、岩手の方言が多用されているが、同じ東北なので、ほぼ理解できた。方言は桃子さんの心の内を表現するにはぴったりの言葉で、読み手の心にもすーっと入って来る。シニア女性なら、桃子さんの心情に共感できる人が多いと思う。

映画化され、田中裕子さん主演で11月に公開される。映画のことを知って、原作を読んでおこうという気になったのだが、この作品を監督がどういう風に撮ったのか、今から楽しみ。

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6月中旬から咲き始めたプルメリアの花がそろそろ終わりに近づいた。つぼみはあと数個。
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