『３７セカンズ』

渋谷パルコの８階にオープンした映画館で、話題の映画『３７セカンズ』を観た。ベルリン映画祭で観客賞を受賞した作品。

出生時に、３７秒間息をしていなかったせいで脳性麻痺となったユマが主人公。彼女は友達の漫画家のゴーストライターをしながら、シングルマザーの母親と暮らす。娘の世話をするのが生きがいのような過保護な母親が時に重荷に感じられて、ユマは独り立ちしたいと思い始める。自作の漫画を出版社に持ち込むと、面白いけれども人生経験が少ない作家ではダメ、いろんなことを経験してから出直しなさいと言われてしまう。それから、ユマの冒険が始まる。

監督はアメリカで映画を学んだ女性で、脚本もオリジナル。初めての長編ということだが、すごい才能を感じた。主人公役は公募で選ばれた実際に脳性麻痺の女性で、演技は素人ながらも圧倒的な存在感。彼女なしでは、この作品の成功はなかったように思う。身障者が主人公の作品などという先入観は捨てて、とにかく多くの人に観てほしい１本だ。


今夜の幸福の木の花