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「ポトスライムの舟」&「ポースケ」を読む [読書]

今年に入ってから、海外のミステリーや警察小説ばかり読んでいたので、日本の小説にシフトした。読んだことのない作家の作品にしようと選んだのが、津村記久子さんの「ポトスライムの舟」と「ポースケ」。

芥川賞受賞作の「ポトスライムの舟」は、工場で契約社員として働く、大卒29歳の女性が主人公。実家で母親と同居しながら、ほかにバイトもしている。ある日、ポスターを見て、船での世界一周の費用が自分の年収と同じだと気づき、その費用を貯めることにする。彼女の大学時代の友人たちの話が出てくるくらいで、淡々とした日常と彼女の心情が描かれる。読みやすいうえにクスッと笑えるユーモアも散りばめられていて、読後感がよい。

「ポースケ」は、「ポトスライムの舟」に登場した何人かが再び出て来るが、今度は一人一人に焦点を当てている。奈良にあるカフェの店主、そこの従業員、客たちの女性7人のそれぞれにいろんな屈託を抱えながらの日常を作者ならではの鋭い洞察力で描いている。カフェを軸にふとしたことで人とのかかわりが生じ、それをきっかけに前を向いて歩き出そうとする人たち。群像劇のような作品で、とても面白く読めた。ちなみにポースケとは、ノルウェーの復活祭のことだそうだ。

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近所では、もう牡丹も藤の花も咲いている。
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