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「流人道中記」&「大名倒産」を読む [読書]

午前中、鍼灸院へ。午後は連れ合いと図書館に本の返却と借りに行く。今回も連れ合いは返却期間の過ぎた2冊のうち1冊は未読で、またそれを借りて来た。新聞もざっと見出しに目を通すだけなので、本など読むはずもないのだが、長年の習慣だからか、プライドなのか、とにかく本を借りることを止めない。

ここ1週間、浅田次郎さんの作品を読んでいた。「流人道中記」は、姦通罪で蝦夷の松前藩お預けとなった旗本・青山玄蕃と彼を津軽の三厩まで護送する押送人の役目を仰せつかった若干19歳の見習与力・石川乙次郎の奥州街道道中記。真面目で融通がきかない乙次郎は口も態度も悪い青山に苛立つ。しかし、旅の途中で巡り合ったさまざまな事情を抱えた人々に青山が関わり、手助けするのを見ているうちに乙次郎の青山に対する見方が変わっていく。最後に青山がなにゆえに切腹を拒否して、青山家を潰してまで流罪となったのか解き明かされる。天下泰平の世が200年以上続いた結果、形骸化した武家社会の法について、礼節や他人を思いやることの大切さについて語る青山のキャラクターが魅力的。道中のエピソードも盗人や敵討ちの武士までいて、多彩で面白かった。

「大名倒産」は、若き藩主の急逝により突如丹生山松平家三万石の殿様に祭り上げられた小四郎が主人公。藩が膨大な借金を抱え、倒産寸前であることを知り、驚愕する。隠居した前藩主の父は計画倒産をして、最後に庶子である小四郎に腹を切らせればうまくいくともくろんでいる。年3万両の利息が発生するのに1万両しか収入がない藩の再生は果たして可能なのか?深刻なテーマにもかかわらず、内容はおとぎ話。七福神や貧乏神、死神まで登場して、てんやわんやの作戦が繰り広げられる。ちょっとばかばかしい面もあるが、江戸時代のコメディ風経済小説と思えば、それなりに興味深い。

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今の時期、あちこちで見られるよく似た黄色い花。上はビヨウヤナギ、下はキンシバイ。
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