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『エンディングノート』 [映画]

新宿ピカデリーでしか上映されていない映画『エンディングノート』を見るために、新宿へ。新宿で映画を見ることなどないので、ピカデリーには初めて行ったが、新しくて立派なシネコンにびっくり。

『エンディングノート』は、会社が命だった砂田さんが67歳でリタイアし、余生を楽しみ始めていた矢先に末期がんと診断され、亡くなるまでを追ったドキュメンタリー作品。監督・撮影を娘さんが務めている。

砂田さんは仕事では何事においても段取りをきちんとしてきた元営業マンらしく、自分の死に向けて、エンディングノートを作成し、実行していく。ご本人が明るく、ユーモアのある方なので、思わず笑ってしまう場面も多い。

14年前のちょうど今頃、1年間の闘病の末、72歳で亡くなった父を思い出し、涙しながら見た。父は砂田さんと同じく、仕事を辞めて半年後に余命数ヵ月の宣告を受けた。父の性格をよく知っている病院長が家族よりも先に本人に告知したため、私たちは父に病状を隠したりする必要はなかった。

東京の専門病院でも診てもらったが、手術はもちろん抗がん剤も効き目はないという診断だった。ならば、自宅で普通に生活するのがいいということになった。でも、何の治療もしないのも不安だろうし、気分転換にもなるだろうからと、私の行きつけの鍼灸院で鍼灸治療を受けてもらうことにした。2週間に一度、新幹線で上京し、日帰りする生活が8ヵ月続いたが、徐々に体力が衰えて来れなくなった。最後の1ヵ月は親戚にも知らせたので、見舞い客で騒がしくなったが、これもお別れのためには致し方ないことだった。

柳田邦男さんが著書の中で、死ぬならがんで死にたいと書いていた。その時が来るまで、猶予期間があるからと。病気が分かってまもなく、両親と共に京都に旅行した。それが私にとっては最初で最後の3人での旅となったが、父ががんにならなければ、実現しなかったように思う。

最後をどう締めくくるべきか、家族はどう向き合うべきなのか、いろいろ考えさせられた映画だった。

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巾着田周辺ウオーキングの途中で見たコスモス。
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