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『ガンジスに還る』 [映画]

神保町の岩波ホールで、インド映画『ガンジスに還る』を見た。8割方、席が埋まった館内を見渡したら、シニアばかり。いかに死を迎えるかが最大の関心事になっている世代だ。

見た夢で自分の死期を悟ったから、聖地バラナシに行くと言い出した77歳の父。家族は反対するが、断固実行しようとする。仕方なく、仕事人間の息子が職場を休んで、付き添うことにする。

2人はガンジス川の畔にある“解脱の家”という死を迎え待つ人々が暮らす施設に滞在。父はほかの滞在者たちと残された日々を穏やかに過ごそうとするが、仕事が気になる息子は父と衝突ばかり。やがて、目の前のガンジスに癒されたのか、父と息子の関係は変わっていく。バラナシを舞台にインド人の死生観と家族を描いた佳作。

10年前、16日間のツアーでインドに行った時、バラナシも訪れた。映画を見ていて、街の雰囲気が全く変わっていないのに気づく。火葬場のすぐ近くを歩いたり、ボートからも眺めた。火葬用の薪が積み上げてあり、火葬を頼む人はその薪を買う。そして、燃やし終われば、遺灰はすべてガンジスへ。

土に還るのではなく、インドでは川に還るのが最高の葬られ方なのだ。お墓も不要だし、潔いことこのうえない。チベット仏教の鳥葬も同様。立派な墓石の下に置かれているより、ずっといいように思う。私自身は散骨にすることと遺言書に書いてあるので、海か山にばらまいてもらえるはず。

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10年前、ボートに乗って、ガンジス川から眺めた朝の火葬場。
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