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『洗骨』 [映画]

朝起きて、カーテンを開けたら、隣の家の屋根にうっすらと雪がのっていた。当分の間、テニスができなくなるのではと心配したけれど、昼間は積もるほど降らなかったので、よかった。家にいても退屈だと連れ合いに言われ、今日も映画に。品川で、本日公開の『洗骨』を見る。

沖縄の粟国島が舞台。ここに暮らす新城家の母が亡くなり、東京の会社で働く息子一家と名古屋で美容師をしている娘が帰ってくる。妻を亡くした父親は、ただうつろに座っているだけだった。

それから4年後、母の洗骨のために息子は家族を連れずに一人で、シングルの娘は臨月間近な大きなお腹を抱えて現れる。帰郷した彼らの目に映ったのは、今でも妻の死を受け入れることができず、相変わらず酒に逃げ、無気力に暮らす父親の姿だった。それぞれに問題を抱えて生きる家族は久しぶりに会ったというのに、衝突し、傷つけ合う。数日後、洗骨の日を迎えた新城家は叔母一家とともに海辺の墓へと向かう。

母親の死によって、バラバラになった家族が洗骨という儀式を経て、再生していく物語。決して重苦しい作品ではなく、笑いあり涙ありで、沖縄特有のゆったりとした雰囲気が味わえる。そして、美しい海も魅力。特筆すべきは、奥田瑛二の演技。腑抜けになった情けない父親役を見事に演じていた。

洗骨という風習を初めて知った。沖縄や奄美だけでなく、台湾や東南アジアにもかつてあったらしい。死者を埋葬しただけでは死霊のままなので、洗骨して、あらためて葬儀をすることで、子孫に幸福をもたらす祖霊となることができる。洗骨のシーンを見ていて、だれでも親の骨を洗うという作業を経験すれば、今の自分はずっと前の祖先からつながっているのだと実感できるのかもしれないなあと思った。

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秋に友人からいただいた菊の花をさっと茹でて、冷凍保存しておいた。それをホウレン草のお浸しと和えた。
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