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「弥勒」を読む [読書]

2日ぶりのウオーキングは蒸し暑く感じた。家に戻ってからシャワーを浴びたのは久しぶり。2日間引きこもっていた連れ合いを外に出すために、昼近くにパン屋へ。エレベーターが点検中で使えず、階段を下りる羽目になる。本人も不安なのか私が手すりにつかまって下りていたら、同じようにしていた。3階なので、ついこの間までエレベーターを使わずに下りていたのに帰りも手すりにつかまって上がった。

篠田節子著「弥勒」を読んだ。新聞社の事業部で美術展開催などの仕事をする永岡は、かつて訪れたことのあるヒマラヤの小国パキスム王国に政変が起き、一切情報が入ってこなくなったことを知る。出張でニューデリーに行った彼は1週間の休暇を取り、パキスムで何が起きたのか自分の目で確かめようとインドから潜入する。

首都カタ―で永岡が見たのは、無人となった街の寺院に折り重なる無数の僧や尼僧の死体だった。インドに戻ろうとする永岡は途中で革命軍に捕らえられ、山村のキャンプで強制労働をさせられる。やがて軍が決めた相手と集団結婚までさせられ、壮絶な日々を送ることになる。あらゆる宗教を否定し、子どもは親ではなく集団で育て、大人は共同で農作業をして、食事も同じものを一緒に食べる。すべてが平等という原始共産制を押し進める革命軍は殺戮を繰り返し、やがて理想とはかけ離れた方向に行きつく。

訪れたことのあるチベットやインド、それにブータンを時折思い浮かべながら読んだが、ノスタルジアに浸っているゆとりはなかった。永岡が極限状態で体験する出来事が読み手に緊張を強いるからである。宗教、信仰、政治、文化、人権など突きつけられるテーマが多くて、読み終えたら、ぐったりと疲れた。でも読み応え十分の作品。


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洗足池の水面に映る雲

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萩の季節

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田舎の友達から大きな桃が届く。シーズン最後に送ってと頼んでおいてくれたらしい。実が大きいのは、遅霜でやられて実の数が少なかったせいとか。早速3時にいただいたら、さすが福島の桃、美味しかった!今頃桃が食べられるなんて、幸せ。
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