SSブログ

「火の粉」を読む [読書]

図書館に予約してあった本の準備ができたとメールが届いたので、開館時間の9時に行き、7冊借りて来た。天気であれば、散歩がてら「にしむら」に鰻を買いに行こうかなと考えていたけど、今にも雨が降りそうな空模様で止める。連れ合いは今日も引きこもりで、時々疲れちゃったとつぶやきながら、ずっとパソコンの前から動かず。

今日借りて来た雫井脩介著「火の粉」を一気読みする。元裁判官の梶間の家の隣に、かつて彼が裁判長として無罪判決を下した武内が越してくる。それは偶然なのか、それとも?と梶間は一瞬うろたえる。梶間の心配をよそに、武内は梶間の母や妻、息子一家ともすぐに顔なじみになり、親切で気のいい隣人として、家族の間に入り込んでくる。やがて、不可解な出来事が次々と起きるようになり、一家に火の粉が降りかかる。

隣人の狂気にじわじわと浸食されていく四世代同居の家族。目の前で殺人事件が起きるわけではないが、背筋が寒くなるような恐怖が立ちのぼってくる。登場人物の背景に嫁姑、介護、児童虐待の問題が散りばめられていて、それらがリアルに描かれている。女性の心理描写が上手いなあと感じた。それにしても、女性陣が介護や家事で大変なのに、元裁判官の父親と弁護士を目指し司法試験受験中の息子があまりに自分勝手であきれた。決して後味のよい作品ではないが、サスペンスとしては面白い。

a.jpg
近所に咲く都忘れ
コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感