SSブログ

「火定」を読む」 [読書]

またしても雨の一日。月曜日に発症した腰痛がすぐに軽快して安心していたら、今朝ちょっとかがんだ時に再発。治ったわけではなかったのかとがっくり。結局家から一歩も出ずに本読みをしていた。椅子に座るより、正座したほうが楽。疲れると立ち上がって、部屋の中を歩いた。痛みは気持ちを萎えさせる。

澤田瞳子著「火定」を読んだ。天平時代の疫病(天然痘)が奈良の都に蔓延し、多くの人が命を落としたという歴史的事実に基づいた作品。その時代、病人を救おうと奔走する医者、逃げ出そうとする役人、自分だけ助かろうとする人、不安な民衆の心につけ入り金儲けをたくらむ者、扇動され暴徒化する人々など、疫病大流行のさなかの人間模様と目を覆うばかりの凄惨な状況が描かれている。読み応えのある作品だった。

天然痘は身分や貧富の差も関係なく感染し、命を奪う。政権の中枢にいた藤原四兄弟もこの疫病で亡くなったという。推計では、当時の日本の人口の25-35%(100万-150万人)が死亡したというから、国の存亡にかかわるほどの災いだった。

2017年の作品だが、1200年以上前の出来事がコロナ禍と重なる部分が多々あり、医学が進歩しても感染症と人間のかかわり方は、大して変わっていないと感じた。

1.jpg
キャベツがあったので、蒸してポン酢で食す。
コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感